9月7日(月)
清永聡『気骨の判決~東條英機と闘った裁判官』 (新潮新書、2008年) を読む。 戦時中の翼賛選挙に対し、 唯一、無効の判決を出した、 大審院の元判事の話。 裁判長の吉田久は、 何と中央大学出身だった。 そのころ裁判官は、 ほとんど帝国大学出身者で占められており、 帝国大学出身者は一部、試験の免除もあったそうだ。 その中を私学出身の、しかも中央を出た 吉田が、気骨の判決を出す。 昭和20年3月1日。 そして4日後に辞職。 3月10日に空襲で、大審院の建物は全焼。 裁判官時代から続けていたのが、中大の講師。 特高につけられ、危険人物視されたであろう吉田を、 辞職後も、中央大学は決して辞めさせることはなかった。 吉田のすばらしさが賞賛すべきことであることは 言うまでもないが、 それ以上に、気骨な人は、吉田だけではなかった。 いろいろな人たちが闘っていた。 結果、吉田の「気骨の判決」になることがわかる。 ちなみに、この翼賛選挙で、 推薦されなかった候補者の中に、 鳩山一郎がいる。 戦後、鳩山は自由党の憲法案を作るにあたって、 頼りにしたのが、吉田だそうだ。 そして総理一歩手前まで来たときに、 鳩山はGHQによって公職追放される。 手に汗握る展開だった。 久しぶりに興奮した。
by ryoukakunokai
| 2009-09-07 23:49
| 凌鶴日記
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